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2012年5月24日 (木)

「在日からの声」5月掲載原稿第1稿

『棺一基 大道寺将司全句集』が発刊された。大道寺氏は天皇暗殺をも計画した「東アジア反日武装戦線“狼”」の一人。確定死刑囚となっり既に獄中37年、さらに多発性骨肉腫発症という幾重もの死への強制と抗いつつ、三菱重工爆破時の殺意の不在をもって再審請求中である。表題は「棺一基四顧茫々と霞けり」から自身によって選取された。深宇宙の真空へと放ち撃たれるほどの死の孤絶をくぐり、尚再び人間の苦界に自己を据え置こうと言語表現の臨界を彼はさ迷う。たずさうのは木柩に詰めた自らの腐骸ただ一つである。マフムード・ダルウィシュやパウル・ツェランが放つ韻文の極北の燐光がここにも濃密に立ち込めている。

 書評めいた言葉の軽量を恥じながら、彼の反侵略の思想域を共有する一人としてこれだけは記そう。この句集一冊をもって彼の命は永遠のものとなった。この愚劣極まる地表の千尋に堅く杭打たれたのだ。彼の命は彼のものでありなお永遠に我々のものだ。日本国家は何をもってしても彼を殺すことはできない。 

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